2021/09/21 07:42

イギリスのビアトリクス・ポターの児童書、「ピーターラビット」のお話の冒頭には、母ウサギが子ウサギたちに「お父さんは、お百姓さんのマグレガーさんの畑で事故に遭って、肉のパイにされてしまったから、行ってはいけない。」と注意している場面があります。

 

幼い頃、これを読んで「怖い!」「ひどい!」「パイなんて!」と驚いたことを覚えています。

 

現在、毎日ニンジンを収穫しています。1本1本手抜きして選別するので、まったく手抜きできない収穫作業。

しかも、ニンジンは(根菜類共通なのですが)、抜いてみないと本当の出来がわからないという、ややサプライズを持ち合わせた野菜です。

まっすぐ色濃くできていればいいけれど、今年は長雨の影響でなかなかつらい時もあります。

 

さて、そんな良いニンジン、悪いニンジン・・・と収穫作業を繰り返す中、ふと、春に土をつくり、種をまき、炎天下の除草作業を乗り越え、やっと収穫!となった時に、服着たウサギに抜き取られて、しかも「へへ~~ん」と笑われたら、心底怒りたくもなるよなぁ・・・と思いました。

 

1890年代の農業技術で、冬間近で、今以上に食料にゆとりがない時代。人間だって死活問題。冒頭の「お父さんウサギ、パイ部分」に関しては、「子供が怖がる」という理由で、描写反対の声もあったそうですが、博物学者でもある作者が、「自然界の現実を重視する姿勢からこの場面をいれることにこだわった」というのも妙に納得でした。

 

ちなみに、「パイって!!」と思いましたが、うさぎ肉のパイは伝統料理だそうです。 一概に、自分が持ち得ている価値観のみで判断しちゃいけないな、と反省しました。

 

どんなことでも実際に体験してみると、考え方が変わったり、新しい見解を持てたりと、得るものがあるなと、ニンジン畑の真ん中でしみじみ思いました。

 

明日は台風による雨予報。これ以上の大雨がないことを切に願います。


 

 

 おまけ

人参を抜いた穴。微妙にスクリュー状に跡がついているの、見えますか?